アライグマとレッサーパンダの違いは?アライグマがもたらす被害や対処法を紹介

レッサーパンダもアライグマも見た目が可愛らしく似ている動物です。しかし、夕方や夜に庭や屋根の上でレッサーパンダに似た動物を見かけたら、なかなか見分けはつかないでしょう。今回は、アライグマとレッサーパンダの違いや、見分け方、被害内容、そして安全な対処法までを詳しく解説します。


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アライグマとレッサーパンダの違 い

アライグマとレッサーパンダは見た目が似ています。しかし、この2種は生態や分類、さらには生息場所までもが大きく異なります。

ここでは、両者の特徴を詳しく見ていき、野外で出会った場合にどちらなのかを判断するポイントを解説します。

レッサーパンダの特徴

レッサーパンダは、愛らしい見た目から動物園でも人気の高い動物です。顔は丸く、目の上下や頬に白い模様があり、全体として柔らかい印象を与えます。体毛は赤みがかった茶色で、ふさふさした尻尾には栗色と白の縞模様が入っています。

食性は主にタケやササの葉を好む草食寄りで、時折果物や昆虫を食べます。分類上は「レッサーパンダ科」に属し、名前に“パンダ”とつきますが、ジャイアントパンダとは系統が異なる別のグループです。

日本に野生のレッサーパンダは存在せず、動物園などの飼育施設でのみ見ることができます。また、レッサーパンダは絶滅危惧種に指定されており、ワシントン条約により個人での飼育やペットとしての輸入は禁止されている動物です。

したがって、もし野外でレッサーパンダのような姿を見かけた場合、それはレッサーパンダではなく、アライグマかタヌキである可能性が高いと考えられます。

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アライグマの特徴

アライグマは、灰色がかった茶色の体毛を持ち、キツネに似た顔立ちをしています。目の下には特徴的な黒い隈があり、これが「アライグマのマスク模様」と呼ばれる識別ポイントです。尻尾は長く太く、黒と茶褐色の縞模様が交互に入っています。見た目はレッサーパンダよりもやや筋肉質で、全体的にたくましい印象を受けます。

食性は非常に幅広く、果物や野菜、昆虫、魚、ネズミ、さらには人間の生ごみまでも食べる雑食性です。そのため、人里に近い地域に出没しやすく、農作物の被害や民家への侵入トラブルも多発しています。

手先が器用で、ドアノブを回す、ゴミ箱を開けることも可能です。夜行性のため日中は姿を見せないものの、夜になると活動が活発になります。

もし夜間に人の家周辺で似たような動物を見かけたのなら、アライグマかもしれません。

アライグマがもたらす被害とは

アライグマは見た目の愛らしさからペットとして輸入された過去がありますが、野生化した個体が増えたことで、日本各地で深刻な被害を引き起こしています。

ここでは、農業や生活環境、人の健康、そして生態系にまで及ぶアライグマの被害について詳しく見ていきましょう。

農業・水産への被害

アライグマは雑食性で食欲旺盛なため、農作物への被害が特に多く報告されています。スイカ、トウモロコシ、ブドウなどの果実や野菜を食い荒らし、商品価値を下げることもあります。また、水稲の苗を倒す被害も確認されており、農家にとっては大きな損失となっています。

さらに、池や水槽にいる魚を捕食することも多く、養殖されているコイや金魚が狙われるケースも少なくありません。

こうした行動の多くは夜間に行われ、翌朝に農作物や池が荒らされていて初めて被害に気づくこともあります。結果として、アライグマは農業・水産業双方にとって厄介な存在なのです。

生活・財産への被害

アライグマは木登りが得意で、屋根や壁をつたってわずかな隙間から人家に侵入できます。屋根裏や天井裏に入り込むと巣を作って繁殖し、その結果、天井や壁、柱や床を破損するほか、糞尿で汚して住宅の損傷や悪臭の原因となります。

夜中に天井から大きな足音や鳴き声が聞こえる場合はアライグマが住み着いているかもしれません。また、屋外ではペットのエサを奪ったり、鶏やウサギなどの小動物を襲ったりする事例も報告されています。

このように、アライグマは単なる野生動物ではなく、私たちの生活や財産にも深刻な影響を及ぼす存在になっているのです。

人への健康被害

アライグマはノミやダニ、さまざまな病原体を保有しており、人間に感染するおそれのある病気を媒介します。特に注意が必要なのが「アライグマ回虫症」と呼ばれる人獣共通感染症です。

この病気は、アライグマの糞便に含まれる回虫卵が体内に入ることで発症し、重症化すると神経障害を引き起こす危険もあります。

また、アライグマは疥癬(かいせん)の原因となるヒゼンダニを運び、感染すると激しいかゆみや皮膚炎を伴います。見た目が可愛いからといって近づいたり、頭をなでようとしたりするのは非常に危険です。

追い詰められた個体が人を咬む事故もあり、野外で遭遇した場合は決して無理に接触しないことが大切です。

在来種の捕食・駆逐

アライグマはもともと日本には生息していなかった外来種です。そのため、在来の動植物に対して強い影響を及ぼしています。例えば、カエルや昆虫、小鳥の卵などを捕食し、生息数を減少させるケースが確認されています。

また、生態系の上位に位置する捕食者として、在来種の縄張りを奪い、競合相手を追い出します。アライグマは単なる害獣ではなく、環境全体に影響を及ぼす「侵略的外来種」として、地域社会全体で対策が求められているのです。

アライグマを見かけた際の対処法

アライグマを目撃した際は、見た目の可愛らしさに惑わされず、冷静な対応が大切です。ここでは、安全に対処するための基本的な行動を解説します。

自分で捕獲しない

アライグマは「外来生物法」により、特定外来生物に指定されています。そのため、飼育・保管・運搬・販売・輸入などが原則として禁止されています。

また、アライグマを捕獲するには「鳥獣保護法」に基づいた許可が必要で、無断で捕獲すると法律違反となるおそれがあります。

距離を保ち、安全を確保する

アライグマは人間を見ても逃げず、時には攻撃的な行動を取ることがあります。特に子育て中や驚いたときは興奮しやすいため、むやみに近づくのは避けましょう。目安として3〜5メートル以上の距離を保ち、安全な場所から様子をうかがいましょう。

不用意に接近すると、引っかき傷や咬まれる危険があります。まずは自分や家族の身の安全を最優先にしてください。

刺激を与えない

アライグマを見つけた際に、大声で騒いだり、懐中電灯やスマートフォンのライトを当てたりする行為は控えましょう。

こうした刺激がアライグマを警戒・興奮させ、思わぬ行動を招くことがあります。特に夜行性のアライグマは光や音に敏感で、威嚇行動に出ることもあります。

追い払わない

アライグマを追い払おうとしたり、棒などで脅かしたりするのは危険です。追い詰められた個体は防衛本能から人に襲いかかることがあり、咬傷事故につながるおそれがあります。

また、無理に追い払った結果、逃げたアライグマが別の家屋や物置に住み着くケースもあります。直接対処せず、専門の駆除業者や行政機関に連絡するのが最も安全で確実な方法です。

ペットや子どもの安全に注意する

アライグマは非常に好奇心が強く、ペットや子どもに危害を加えることがあります。屋外で飼っている金魚やコイ、小動物が襲われる被害も報告されています。

また、屋内に侵入した場合、寝ている子どもや小型犬・猫に噛みつく可能性があります。見かけた際は、すぐにペットや子どもを屋内に避難させ、アライグマと接触しないよう注意を払うことが大切です。

行政機関に連絡する

アライグマを見かけた場合、まずは冷静に状況を確認し、速やかに行政機関へ連絡しましょう。

敷地外で目撃した場合は、市役所や町村役場、警察署、消防署などへ通報することで、地域全体の被害防止につながります。

もし敷地内で発見した場合は、役場や自治体の環境課、または害獣駆除業者へ相談してください。自分で捕獲や駆除を行うのではなく、専門知識を持つ担当者に対応を任せることが、安全で確実な対処法です。

アライグマの被害に遭った場合はがいじゅうZEROへご相談ください

アライグマの被害に困ったら、害獣駆除サービス「がいじゅうZERO」へご相談ください。相談から現地調査、見積もり、駆除作業まで自社スタッフが一貫して対応するため、迅速かつスムーズに問題を解決できます。

また、再発防止に向けたアドバイスや侵入経路の特定も行っており、長期的な被害対策にも対応しています。もしもご自宅や敷地でアライグマを見かけたら、早めに相談することが被害拡大を防ぐ第一歩です。

まとめ

アライグマは見た目が愛らしい一方で、農作物や住宅への被害、人への健康リスクなど、深刻な問題を引き起こす外来生物です。レッサーパンダとは異なり、日本では野生化したアライグマが各地で確認されています。もし見かけた場合は、自分で対応せず、距離を保ち、行政機関や専門業者に相談しましょう。