なぜアライグマは飼育禁止?ペットとして飼う難しさとその影響

アライグマは一見すると愛らしい動物ですが、日本では「特定外来生物」に指定されており、飼育が法律で禁止されています。背景には農作物被害や健康リスク、建物への被害など深刻な問題があります。今回は、アライグマを飼えない理由や被害の実態、防止策について解説します。


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アライグマの飼育が禁止されている理由

アライグマは一見かわいらしい外見をしていますが、日本では「特定外来生物」に指定されており、法律によって飼育や譲渡が禁止されています。これは、野生に放たれたアライグマが生態系に深刻な影響を与えているためです。

実際に農作物を荒らしたり、在来種の生き物を捕食したりする被害が報告されており、さらに狂犬病など人間に感染するおそれのある病気を媒介する可能性もあります。そのため、ペットとして飼うことはできず、違反した場合は罰則の対象となります。

法規制の背景には、自然環境や人々の安全を守る目的があるのです。

そもそもアライグマはペットとして飼うのは難しい!

アライグマは見た目が可愛らしいため、かつて日本でもペットとして飼育されていました。しかし、その習性を踏まえると家庭で飼うのは非常に難しい動物です。

まず、アライグマは本来野生で暮らす生き物であり、夜行性で活動的、さらに木登りや水辺での行動を好みます。こうした生活習性は人間の生活リズムと合わず、室内で飼うと家屋を荒らしたり、騒音や破損の原因になりやすいのです。

また、雑食性で食欲旺盛なため管理が大変であり、成長すると体重も10kg近くまで増えるケースもあることから、力も強くなり人間に怪我をさせる危険もあります。

実際に、過去にはペットとして飼われていたアライグマが逃げ出し、野生化して各地で農作物被害を引き起こした事例も多発しました。

その結果、日本では現在「特定外来生物」に指定され、原則として飼育は禁止されています。つまりアライグマは「可愛いから飼いたい」という気持ちだけでは手に負えず、そもそも人とともに暮らすことに適していない動物なのです。

アライグマがもたらす被害

アライグマは見た目の愛らしさから飼育されることもありますが、野生化すると人間の生活に深刻な被害を及ぼす存在となります。ここでは、農作物への影響から健康被害、騒音問題、さらに建築物への被害まで、具体的なリスクについて解説します。

農作物の被害

アライグマによる最も深刻な被害のひとつが農作物への被害です。

果物や野菜、穀物など幅広い作物を食い荒らすため、農家にとっては収穫量の減少や品質の低下を招きます。特にスイカやトウモロコシ、ブドウなどの甘みが強い作物は狙われやすく、一晩で畑全体を荒らされることもあります

さらに、アライグマは手先が器用で、ネットや柵を器用に突破するため、一般的な獣害対策が通用しにくいのも特徴です。農家にとっては経済的な損失が大きく、長期的には営農の継続が困難になるおそれもあります。

健康被害

アライグマは人間の生活圏に侵入することで、健康被害のリスクも高めます。

代表的なのが「アライグマ回虫」という寄生虫で、糞に含まれる卵が人間に感染すると、重篤な脳炎や失明を引き起こす危険があります。海外では報告例があり、衛生上の大きな脅威です。

また、アライグマは狂犬病やレプトスピラ症などの人獣共通感染症を媒介する可能性も指摘されています。見た目に反して攻撃的な性質を持つこともあり、不用意に近づくと咬傷による感染リスクが高まります。住環境に侵入した際には、衛生管理と安全確保が不可欠です。

騒音被害

夜行性のアライグマは、深夜から明け方にかけて活発に行動します。

屋根裏や壁の隙間に住み着くと、足音や鳴き声、物を引きずる音が響き渡り、睡眠を妨害されるケースが多くあります。特に複数の個体がいる場合は騒音が激しく、日常生活に大きなストレスを与えます。

さらに、繁殖期になると子育てのために鳴き声が増えたり、走り回ったりすることで被害が拡大します。こうした騒音被害は精神的負担となり、生活の質を著しく低下させる要因となります。

建築物への被害

アライグマは侵入のために屋根瓦をずらしたり、壁や床に穴を開けたりするため、建築物への物理的な被害も少なくありません。

屋根裏に住み着いた場合、断熱材を破壊し、巣材として利用するため修繕費用がかさみます。さらに、糞尿による悪臭やシミが広がり、住宅の衛生環境を悪化させます。

こうした被害は放置すると拡大しやすく、建物の耐久性にも影響を与える可能性があります。早期発見と対策が取れなければ、修復に多額の費用がかかることもあるため、専門業者による駆除や防除が不可欠です。

アライグマの被害を防ぐための予防策

アライグマによる住宅や農作物への被害を未然に防ぐには、日頃からの予防策が欠かせません。侵入口を塞ぐ、エサとなる物を排除する、嫌いなニオイを利用する、防護柵を設置するなど、複数の方法を組み合わせることで高い効果が期待できます。

以下で、具体的な対策を解説します。

侵入口を塞ぐ

アライグマは屋根裏や床下など、ちょっとした隙間からでも侵入してきます。そのため、まずは自宅や倉庫の外周を点検し、出入り口となり得る箇所を徹底的に塞ぐことが重要です。

具体的には、通気口や換気扇の隙間に金網を取り付けたり、床下の通風口には丈夫な鉄格子を設置する方法があります。また、屋根や壁の劣化部分、破損した戸袋なども見逃さず修繕しておくことが大切です。

少しの隙間でも器用にこじ開けて侵入してしまうため、簡単には破られない素材を選ぶことが効果的です。

エサとなる物を取り除く

アライグマが居ついてしまう大きな理由は「エサが豊富にあること」です。家庭ごみを屋外に放置せず、必ず蓋付きの容器に入れて管理することが基本です。

特に生ごみやペットフードは強い匂いを発しやすく、アライグマを引き寄せてしまいます。

また、庭や畑では落ちた果実や収穫残りの野菜をそのままにせず、こまめに片付けることも大切です。

さらに、屋外に設置した鳥のエサ台やペットの水皿もターゲットになりやすいため、夜間は片付けておくことが被害防止につながります。

嫌いなニオイを撒いておく

アライグマは嗅覚が鋭く、特定の匂いを嫌う習性があります。その性質を利用して侵入を防ぐ方法も効果的です。

代表的な物として、木酢液やクレゾール石けん液など強い匂いを発する薬剤があります。これらを侵入しそうな場所や通り道に散布すると、近づきにくくなるとされています。

ただし、雨や時間の経過で効果が薄れるため、定期的に撒き直す必要があります。また強い薬剤は人やペットにとっても刺激となるため、使用場所や濃度には注意が必要です。

比較的扱いやすい物として、唐辛子成分を含む忌避剤や市販の専用スプレーもありますので、状況に応じて使い分けると良いでしょう。

防護柵を張っておく

畑や庭を守るためには、防護柵の設置も有効な対策のひとつです。アライグマは木登りや穴掘りが得意なため、単純な柵では突破される可能性があります。そのため、高さはアライグマの目線の高さを目安にし、さらに地面に10~20センチ程度埋め込むことで、掘り返しによる侵入を防げます。

電気柵を利用するのも効果的で、特に農作物被害が深刻な場合には導入が検討されます。ただし、設置には安全面の配慮が不可欠です。地域の指導機関や専門業者に相談し、適切な方法で設置することで、長期的に安定した効果が得られるでしょう。

アライグマの被害に遭った場合はがいじゅうZEROへご相談ください

アライグマは「特定外来生物」に指定されており、個人での飼育は法律で禁止されています。しかし、実際には農作物や住宅に被害を及ぼすケースが後を絶たず、放置すると大きな損害や衛生リスクにつながります。

そのようなときは、専門の「がいじゅうZERO」へご相談ください。調査から見積り、駆除作業まで自社一貫で対応し、迅速かつ確実なサポートが可能です。さらに施工後には消毒・修繕・清掃を徹底的に行い、再発リスクを最小限に抑えています。

また、最長10年間の保証も付いています。アライグマ被害でお困りの方は、信頼できる専門家による確実な解決策をご検討ください。

まとめ

アライグマは見た目の可愛さとは裏腹に、生態系や人間生活に深刻な被害をもたらすため、飼育は禁止されています。被害を防ぐには日頃の対策と専門業者への相談が欠かせません。もし被害に直面した際は、信頼できるプロに依頼して安全で快適な暮らしを守っていきましょう。