アライグマの繁殖期はいつ?繁殖力や駆除に適したタイミングも解説

近年、国内のアライグマの数が増加しています。自宅周辺でもアライグマが出没したとの情報を耳にして、「繁殖期で増える前に何か対策すべきか」と悩む方もいるのではないでしょうか。 そこで今回は、アライグマの繁殖期や対策におすすめの時期、対策せずにアライグマに棲み着かれた場合に起こり得る被害などについて解説します。


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アライグマの繁殖期は冬から春!

アライグマの繁殖期は一般的に冬から春にかけて訪れます。多くは1~3月ごろに交尾を行い、約2か月の妊娠期間を経て4~5月ごろに出産します。ただし、これはあくまで目安です。地域や気候によってアライグマの繁殖期は前後します。

例えば、寒冷地域では気温の影響で交尾の時期がやや遅くなる傾向があり、逆に温暖な地域では繁殖期が早まることがあります。

また、春先の繁殖に失敗した場合には、夏から秋にかけて再び発情期を迎え、夏に出産するケースも確認されています。

アライグマは繁殖力が強い!

アライグマは1回の出産で平均4頭ほど、多ければ8頭ほどの子どもを出産する繁殖力の強い動物です。生まれた子どもは10か月ほどで成熟し、1歳ぐらいから繁殖できるようになります。

また、1歳のアライグマの妊娠率は70%以上、2歳を超えたアライグマの妊娠率は90%以上です。環境省発表の「アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除)」では、2歳以降のアライグマの妊娠率は100%に近いとされています。

つまり、自宅近辺でアライグマを見かけた際に何の対策もしないで放置すると、繁殖期以降に数が増えるのはほぼ確実です。

環境省のシミュレーションでも100頭のアライグマを放置した場合、6年後には約5倍、10年後には約50倍に増えるとの結果が出ています。

参考:環境省「アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除)

繁殖期のアライグマには注意!

アライグマの繁殖期は、行動も活発化する時期です。アライグマが繁殖期に入ると、オスの縄張り意識が一気に強まります。他のオスと縄張りをめぐって争い、夜間に激しい鳴き声が聞こえることも増えるでしょう。

また、メスを求めるためにオスの行動範囲が広がり、これまでアライグマを見かけなかった地域でも姿を現すことが増えます。

一方、メスは出産に備えて、屋根裏や倉庫、床下など人目につきにくく暖かい場所を選び、巣作りを始めます。そのため、繁殖期は自宅周辺の被害が急増する時期です。

繁殖期のアライグマは、子どもを守ろうといつも以上に攻撃的になるため、見つけても近づかず、専門業者や自治体に相談しましょう。特に巣作りが始まる前に対応できれば、被害を最小限に抑えられます。

アライグマの寿命

野生のアライグマの寿命は5~8年程度ですが、なかには13~16年ほど生きる個体もいます。飼育されているアライグマの寿命は、それよりも長い10~20年ほどです。

また、アライグマは1回あたりの出産数が多い動物でありながら、1歳未満の個体の初期死亡率が50%未満です。何も対処しないと雪だるま式に数が増えていきます。

参考:環境省「アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除)

アライグマによってもたらされる被害

アライグマを放置するとどんどん増えることはわかったものの、「わざわざ駆除する必要があるのか」「追い出すのはかわいそうだ」と思う方もいるでしょう。

しかし、自宅に棲み着いたアライグマを、そのまま放置するのは危険です。アライグマを放置すると住環境や健康、生態系など、さまざまな方面に被害がおよぶ可能性があります。

具体的にはどのような被害が出る可能性があるのか、アライグマによる獣害について解説します。

住環境への被害

人間が住んでいる家は餌になる物が豊富で暖かく、アライグマにとって快適な環境です。特に屋根裏は人間に気づかれにくく巣材になる断熱材もあって、アライグマからすると理想的な環境なので、こっそりと棲み着くことがあります。

こうしてアライグマに棲み着かれると、住環境が一気に悪化します。例えば、アライグマは夜行性なので、深夜に歩き回る足音や鳴き声に悩まされるでしょう。

また、アライグマは一か所に糞尿をする「ため糞」の習性があるため、溜まった糞尿によって天井が腐るなど、建材も劣化してしまいます。

壁や断熱材が破壊されたり、配線がかじられたりすることもあり、被害を受けた後の修繕が大変です。民家だけでなく、神社仏閣などの重要文化財が被害を受けた事例もあります。

健康被害

野生のアライグマはさまざまな病原菌を保有しているため、接触すると健康被害が出るリスクもあります。

アライグマ回虫症と狂犬病など、重い症状が出たり障害が残ってしまったり、死に至ったりするリスクの高い病気をうつされることもあり大変危険です。

これらの病気は、アライグマの体や糞尿に触れたり噛まれたりすることで感染するため、直接アライグマの体や糞尿に触ってはいけません。

また、アライグマはかわいらしい見た目に反して凶暴です。普段から危険な動物ですが、繁殖期はいつも以上に凶暴化するので、絶対に近づかないようにしましょう。

農業・畜産業・水産業への被害

アライグマは雑食性で、野菜や果物から魚、鳥など何でも食べるため、個体数が増えると農業・畜産業・水産業にも被害が出る可能性があります。

農作物や養殖魚が食い荒らされ、大きな被害が出ている地域も少なくありません。農林水産省発表のデータによると、令和5年のアライグマによる農作物被害額は4億8,800万円です。

特に北海道はアライグマによる農作物被害が多く、令和5年の被害額は1億7,400万円に上っています。

一般家庭レベルでも、家庭菜園で育てている農作物や小屋で飼われている鶏が狙われたり、水槽や池で飼育している魚や亀、犬や猫などのペットが襲われたりします。

参考:
農林水産省「全国の野生鳥獣による農作物被害状況(令和5年度)
北海道庁 環境生活部自然環境局「野生鳥獣による農林水産業被害調査結果(令和5年度)の概要

生態系への影響

アライグマの個体数の増加は、生態系にも悪影響をおよぼします。日本にアライグマが広まった原因とされているのは、1962年に愛知県の動物園で起きた集団脱走事件です。

1970年代に、テレビアニメの影響でアライグマをペットにした人が捨てたり逃がしてしまったりしたことも、野生のアライグマが増加した原因と考えられています。

放逐や脱走によって野生化したアライグマは数を増やし、全国各地に分布域を拡大していきました。

そして、サギ類やニホンザリガニ、サンショウウオなどを捕食し、生活環境を破壊して、日本固有の生物の個体数減少を招く原因になったのです。

アライグマ対策をするならいつ?

アライグマ対策をするなら、春先〜初夏(3月~6月)が良いでしょう。春先は自然界に餌が少ないため、撒き餌でおびき寄せやすくなります。

すでに屋内に侵入されている場合は、入ってきてすぐのタイミングで対策するのがベストです。子どもが生まれてしまうとアライグマが凶暴になり、駆除作業が大変になります。

子どもが生まれてしまったら、巣立ち前までに何とかしたいところです。子どもが歩けるようになると捕獲の際にバラバラに逃げてしまうため、点検口を開けて探す手間が増え、駆除のハードルが上がってしまいます。

アライグマの具体的な対策方法については、以下の記事にて解説していますので、ぜひ参考にしてください。

アライグマ被害の対策はどうすればいい?具体的な方法をご紹介

アライグマを自宅に侵入させない方法

アライグマの駆除を考える前に、自宅に侵入させない工夫も欠かせません。ここでは、日常的にできる予防対策を紹介します。

エサになるものを外に放置しない

アライグマは嗅覚が非常に発達しており、食べ物のにおいを遠くから察知します。生ゴミやペットフード、果物の残りなどを外に置いたままにしておくと、アライグマを家の近くまで呼び寄せてしまいます。

特に夜間はアライグマの活動が活発になるため、ゴミ出しのタイミングにも注意が必要です。フタ付きのゴミ箱を使用する、出す時間を朝方に調整するなどの工夫で、被害を防げます。

庭やベランダに落ちた果実、野菜くず、ペットの食べ残しなども放置せず、こまめに片づけることが大切です。日々の小さな意識が、侵入を未然に防ぎます。

侵入経路を塞ぐ

アライグマは手先が器用で、わずかな隙間からでも家屋に侵入します。特に屋根裏や床下、換気口、雨どい周辺などは侵入経路になりやすいため、点検を怠らないようにしましょう。

老朽化した屋根や壁の破損箇所があれば、早めに修繕を行うことが重要です。また、庭の木の枝が屋根やベランダにかかっていると、アライグマがそれを伝って侵入するおそれがあります。長い枝は切り落とし、外壁との接触を避けましょう。

これらの対策で、アライグマが「入りやすい環境」から「近寄りにくい環境」へと変えられます。自力での対応が難しい場合は、専門業者に点検や防除を依頼するのも効果的です。

アライグマ対策をするときの注意点

アライグマは「鳥獣保護法」で保護されている動物です。

鳥獣保護法とは野生の鳥獣を適切に保護・管理するための法律で、保護対象の鳥獣を捕獲するには行政の許可を得なくてはなりません。保護対象の鳥獣を無許可で捕獲したり傷つけたりすると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

忌避剤や燻煙剤などを使ってアライグマを追い出すだけなら無許可でも問題ありませんが、あまり効果が持続しないため、完璧に駆除するのは難しいでしょう。そのため、アライグマを捕獲・駆除するなら、プロに相談するのが確実です。

まとめ

アライグマの繁殖期は冬から春先にかけての時期で、1度の出産で4~8頭ほどの子どもを産みます。妊娠率は1歳までの個体が70%以上、2歳を超えると100%近いといわれており繁殖力が高いため、放置するとどんどん数が増えていきます。

アライグマが増えると、住環境や健康面、産業、生態系など多方面に悪影響が出るため、できるだけ早い対処が大切です。

しかし、アライグマを捕獲するには許可を得なくてはなりません。追い出しは無許可でできますが、思うような効果が得られないことも多いので、プロへの依頼を検討しましょう。

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