アライグマが媒介する病気
アライグマが媒介しうる主な病気と、その原因となる細菌や寄生虫などについて説明します。
アライグマ回虫症
アライグマ回虫症は、アライグマの小腸に寄生している回虫によって引き起こされる病気です。主に目などの粘膜から人体に侵入し、視力低下や重篤な神経症状などを引き起こします。
感染直後は自覚症状がなく、重症化してから発見されることも多いです。重症化すると目が開けられなくなり、最悪の場合、死亡することもあります。
感染経路としては、主に野外活動時に目の粘膜から感染するケースが多いです。特に子どもを砂場で遊ばせる場合には注意しましょう。アライグマの糞で汚染された砂を触り、手に回虫が付着し、目をこすったときなどに感染するリスクがあります。
狂犬病
狂犬病は致死率が非常に高く、治療方法も確立されていない恐ろしい病気です。犬だけでなく、すべての哺乳類が狂犬病に感染し、ウイルスを持っている可能性があります。
狂犬病に感染した場合の症状は、強烈な発熱や頭痛などです。嘔吐や筋肉の緊張・痙攣などの症状も現れます。いったん狂犬病を発症してしまうと、助かる見込みはほぼありません。
戦後まもない時期は日本でも、狂犬病ウイルスを保有する犬が周辺をうろつき、噛まれて狂犬病を発症し、亡くなる方も多くいました。現在、日本では狂犬病の感染者は確認されていません。飼い犬に関しては、狂犬病ワクチンの接種が義務付けられています。
しかし、アライグマを含む野生動物はワクチンを接種していないため、噛まれた場合に感染する可能性があります。傷口や目、口などの粘膜を舐められた場合も同様です。
日本脳炎
日本脳炎は蚊を介して感染するウイルス性の病気です。日本脳炎ウイルスを保有しているアライグマの血を蚊が吸い、同じ蚊から刺された場合に感染する可能性があります。そのため、アライグマと接触することがなくても油断はできません。
日本脳炎に感染した場合には、高熱や頭痛、嘔吐などの症状が現れます。致死率は成人で20~40%程度と高めです。死亡に至らずにすんだ場合でも、神経系の後遺症が残る可能性があります。
恐ろしい病気ですが、感染した場合でも発症する割合は低めです。また、大半の人は幼少期にワクチンを接種しているため、感染者は大幅に減少しています。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
重症熱性血小板減少症候群は、「マダ二」というダニを介して感染する病気です。SFTSウイルスを保有するアライグマの体表に、マダニが付着していることがあります。そのマダニに皮膚を噛まれて感染するというのが、人への主な感染経路です。
アライグマを直接触ると、感染のリスクを伴うため注意しましょう。また、アライグマと直接触れていない場合でも、マダニが皮膚に付着すれば、感染のリスクがあります。
感染した場合の致死率は10~30%です。主に発熱や消化器症状などが現れます。
疥癬(かいせん)
疥癬は「ヒゼンダニ」というダニを介して感染する病気です。アライグマの体表には、さまざまなダニが付着しているため、「ヒゼンダニ」が付着していることもあります。
人間がアライグマに触れて、ヒゼンダニが皮膚に付着するというのが、主な人への感染経路です。ヒゼンダニは、皮膚の中に入り込んで寄生することで、疥癬が発症します。
疥癬が発症した場合の代表的な症状は、皮膚のかゆみや発疹などです。寄生したヒゼンダニは、皮膚の中に卵を産んで増えていくため、皮膚がボロボロになり症状も拡大していきます。
また、疥癬に感染している人の皮膚に触れると、人から人へも感染するため注意が必要です。
レプトスピラ症
レプトスピラ症は、アライグマの排泄物を介して感染する病気です。人獣共通感染症で、人間だけでなく家畜やペットにも感染します。
人に感染する場合には、主に生活用水や土など経由するケースが多いです。アライグマの排泄物が用水路や土壌などに混じり、そこから飲食物などを介して人体に侵入します。重症化すると死亡に至るケースもあるため注意が必要です。
カンピロバクター食中毒
カンピロバクター食中毒は、カンピロバクターという細菌によって引き起こされる食中毒です。アライグマを含む野生動物の多くがカンピロバクターを保有しています。アライグマに触れると、カンピロバクターが手に付着するため注意しましょう。
主な症状は、下痢や腹痛、発熱、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などです。潜伏期間が比較的長く、発症まで1週間程度かかることもあります。
厚生労働省によると、カンピロバクター食中毒は細菌性の食中毒の中でも近年特に多く発生しています。年間の患者数は2,000人前後です。ただし、死亡者は近年出ておりません。
カンピロバクター食中毒を予防するには、アライグマを触らないことが大事です。それとあわせて、食事前の手洗いを徹底しましょう。
サルモネラ感染症
サルモネラ感染症も細菌性の食中毒です。アライグマはサルモネラ菌を保有していることがあるため、アライグマに触れると感染のリスクを伴います。
主な症状は下痢や腹痛、発熱などです。感染すると12~72時間程度は無症状で、その後に発症します。
子どもや高齢者が感染すると重症化する可能性があるため注意しましょう。カンピロバクター食中毒と同様に、アライグマに触れないことと、食事前の手洗いを徹底することが効果的な予防策です。
アライグマが原因の病気を防ぐ方法
アライグマが原因の病気を防止するための方法を見ていきましょう。
アライグマに不用意に近づかない
アライグマを見かけても近づいたり触ったりしないことが重要です。アライグマは可愛らしい見た目ですが、凶暴な性格で人に危害を加えることもあります。
近づいたり触ろうとすると、噛まれたり引っかかれたりする可能性があるため、十分に注意しましょう。
衛生管理を徹底する
アライグマの血液や唾液、排泄物、死骸などに触れないことも大事です。もし触れてしまうと、病気の原因となる細菌やウイルスが付着する可能性があります。
アライグマが近くで目撃されている場合には、接触したものなどを介して、気がつかないうちに手などに細菌やウイルスが付着していることもあります。そのため、手洗いを徹底するようにしましょう。
また、衣類などがアライグマと接触してしまった場合には、洗濯するだけでは十分ではありません。洗浄後に煮沸消毒するのが望ましいです。
アライグマを駆除する
近所でアライグマが目撃されているのを放置しておくと、病気を媒介する可能性が高いです。特に天井裏などに入り込むようなことがあれば、自宅内に細菌やウイルスがばらまかれてしまうでしょう。そのため、早急な駆除が推奨されます。
ただし、個人でアライグマを駆除してはいけません。アライグマは「鳥獣保護法」や「外来生物法」などの法律で守られている動物です。自己判断で駆除すると罰則が適用される可能性もあります。
もしアライグマが家屋に侵入した場合はさまざまな被害は発生するおそれがあるため、早急に害獣駆除業者に相談して対処しましょう。
まとめ
アライグマはさまざまな病気を媒介します。凶暴な性格ということもあり、むやみに近づいたり触ったりするのは危険です。アライグマが媒介する病気に感染すると、重症化したり死亡に至ったりするケースもあります。
もし、近所でアライグマが目撃されている場合には、手洗いなど衛生管理を普段から徹底することが大切です。また、自宅内に侵入している場合、一般の人が対処するのは難しいため、害獣駆除業者に相談しましょう。
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