コウモリはどんな病気を持っている?危険な感染症から身を守るには

コウモリは日常生活で関わることがない動物だと思っている方もいるでしょう。しかし、実際には民家に棲み着くこともある、身近な害獣の一種です。コウモリが棲み着くと大量の糞尿で建物が傷むだけでなく、病気や寄生虫に感染するリスクがあります。 今回はコウモリが媒介する病気や寄生虫、コウモリが棲み着いた場合の対処法を紹介します。


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コウモリが媒介する病気

コウモリが媒介する病気にはさまざまな種類があり、なかには重篤な症状を引き起こしたり、生命に危険を及ぼしたりするものもあります。

具体的にはどのような病気にかかる可能性があるのか、詳しく見ていきましょう。

アルボウイルス感染症

アルボウイルス感染症とは、アルボウイルスに感染することで発症する病気のことです。「アルボウイルス」とは節足動物が媒介するさまざまなウイルスの総称で、以下のような重篤な症状を引き起こすウイルスも含まれています。

・日本脳炎ウイルス
・デングウイルス
・リフトバレー熱ウイルス など

アルボウイルスに感染したコウモリをダニが刺した後、そのダニが人間を刺した際に、アルボウイルスに感染する可能性があります。

アルボウイルスに感染しても症状が出ないことも多いですが、症状が出た場合は関節痛・発疹・リンパ節の腫れといったインフルエンザに似た症状が出るのが一般的です。また、脳炎や出血熱などの症状が出ることもあります。

アルボウイルスには有効なワクチンや治療薬がないため、感染を防ぐためコウモリなどと接触しないようにしましょう。

エボラ出血熱

エボラ出血熱とは、エボラウイルスに感染し発症する病気です。エボラウイルスの自然宿主はオオコウモリ科のコウモリだと考えられていますが、コウモリのみが感染源になるわけではありません。

エボラウイルスに感染している人間や動物の体液、排泄物、嘔吐物に接触した場合に感染する可能性があります。

エボラ出血熱の主な症状は発熱・頭痛・筋肉痛などです。進行すると下痢・嘔吐・発疹などの症状が出たり、腎機能障害・肝機能障害などを引き起こしたりすることがあります。

エボラ出血熱には2~21日間ほどの潜伏期間があり、潜伏期間中は感染力が低いものの、発症すると感染力が上がります。

エボラ出血熱のワクチンや特効薬はなく、対症療法しかないため、野生動物への接触や流行地域への渡航を控えるなど、予防に努めることが大切です。

ニパウイルス感染症

ニパウイルス感染症とは、コウモリを自然宿主とするニパウイルスに感染することで発症する病気です。コウモリから直接感染するだけでなく、ニパウイルスに感染した豚から人間に感染したケースも報告されています。

主にアジア圏で発症が確認されている病気で、バングラデシュからインド北東部では、ほぼ毎年ニパウイルス感染症が発生しています。

ニパウイルス感染症の主な症状は、発熱・頭痛・筋肉痛・倦怠感といったインフルエンザに似た症状です。重症化すると見当識障害(日付や居場所などがわからなくなる状態)・痙攣・昏睡などの脳炎症状が出ることがあり、致死率は約32~40%とされています。

ハンタウイルス感染症

ハンタウイルス感染症とは、ハンタウイルスに感染することで発症する急性の呼吸器感染症です。ハンタウイルスはネズミやコウモリが感染源となるウイルスで、ウイルスを保有する動物の糞尿で汚染されたホコリを吸い込むなどして感染します。

ハンタウイルス感染症には「腎症候性出血熱(HFRS)」と「ハンタウイルス肺症候群(HPS)」があり、共通の症状として発熱・筋肉痛・腹痛・嘔吐などがあります。

進行後の症状はそれぞれ異なり、HFRSの場合は腎機能障害・皮下出血などを起こすケースがありますが、軽症の場合は発熱・頭痛などの症状のみで回復し、致死率も10%程度です。

一方、HPSの場合は呼吸困難・ショックなどの症状を起こすことがあり、致死率も50%以上といわれています。24時間以内に亡くなるケースもあるため、そもそもハンタウイルスに感染しないよう、ネズミやコウモリに触れるのを避けることが重要です。

ヘンドラウイルス感染症

ヘンドラウイルス感染症とは、コウモリが自然宿主であるヘンドラウイルスに感染することで発症する病気です。

人間がヘンドラウイルスに感染する原因は、コウモリからヘンドラウイルスをうつされた馬の体液や排泄物に触れることだと考えられています。

ヘンドラウイルス感染症の主な症状は、発熱・筋肉痛といったインフルエンザに似た症状です。重症化すると、肺炎・脳炎による意識障害や痙攣といった症状が出ることがあります。

リッサウイルス感染症

リッサウイルス感染症とは、狂犬病ウイルス以外のリッサウイルス属のウイルスに感染した場合に発症する病気です。

リッサウイルス属のウイルスは野生のコウモリから検出されており、リッサウイルスを保有するコウモリにかまれたり引っかかれたりすることで感染します。

リッサウイルス感染症の主な症状は、頭痛・発熱・倦怠感・患部の知覚過敏などです。興奮・精神錯乱といった中枢神経症状など狂犬病とよく似た症状が出ることもあり、判別がむずかしいといわれています。

発症後1ヶ月以内に死に至ることも多いため、コウモリとの接触を避け、リッサウイルスに感染しないように予防することが重要です。

狂犬病

狂犬病とは、狂犬病ウイルスを保有する動物にかまれたり、引っかかれたりして感染する病気です。犬だけでなく、コウモリや猫などから感染した例もあります。

狂犬病は世界中で毎年数万人の死亡者を出している人畜共通感染症のひとつで、発症すると発熱・倦怠感・筋肉痛などの症状が出ます。

興奮・不安・錯乱・精神不安などの脳炎症状が出ることもあり、発症後の致死率はほぼ100%といわれる危険な病気です。

狂犬病ワクチンは存在しますが、発症後の治療法がないため、むやみに野生動物に触るのは避けて予防に努めることが大切です。

ヒストプラスマ感染症

ヒストプラスマ感染症とは、コウモリや鳥の糞に含まれるカビが原因で発症する病気です。コウモリや鳥の糞尿に触れたり、糞尿に汚染されたホコリを吸い込んだりすることで感染します。

ヒストプラスマ感染症の主な症状は、発熱・頭痛・乾いた咳などです。悪寒・疲労感といった症状が出ることがあります。

感染後に3~17日間無症状の期間が続き、症状がないまま治ることもありますが、免疫に問題がある場合は重症化するリスクがあるため注意が必要です。なお、日本ではヒストプラスマ感染症の感染例はほぼありません。

コウモリは病気だけでなく寄生虫も持っている

コウモリは病原菌やウイルスだけでなく、マダニ・コウモリマルヒメダニ・コウモリトコジラミなどの寄生虫がついていることも多々あります。

これらの寄生虫に触れるとかまれて湿疹が出たり、何らかのウイルスに感染したりするおそれがあるので、コウモリに素手で触れることは避けましょう。

コウモリに起因する病気を防ぐ対処法

コウモリによる感染症を防ぐには、コウモリやその排泄物などとの接触を避けることが重要です。

コウモリが家に入ってきた場合は、棲み着かれたり糞尿をされたりする前に、急いで家から追い出しましょう。追い出す際には、素手で触れないようにしてください。

また、コウモリは鳥獣保護法で守られているため、傷つけたり殺したりしないように注意しましょう。

コウモリを追い出したとしても、家の中にほかのコウモリがまだ棲み着いていたり、自宅周辺にコウモリの巣があったりする可能性もあります。そのため、コウモリの駆除を行うことも重要です。

ただし、前述のとおりコウモリは鳥獣保護法で守られており、許可なしの捕獲・駆除は禁じられています。衛生面でもリスクがあるため、駆除作業は専門業者に依頼するのがおすすめです。

まとめ

コウモリはさまざまな病原菌や寄生虫をもっており、不用意に接触すると何らかの病気を発症するおそれがあります。コウモリが家に入ってきたり棲み着いたりした場合は、速やかに対処することが大切です。

しかし、コウモリは許可なく捕獲・駆除することを禁じられており、衛生的にもリスクがあるので、駆除は専門業者に任せた方が良いでしょう。

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